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裏切られたときの


いつも怖く思う。
自分が裏切られたときに。
人の傷だけ知って、
そして逃げてゆく

君は花の中に潜みゆく甘い棘
絡む痛みを知らずとも傷は拡大し

誰も癒せない
誰にも触らせない
誰も信じない
誰もが怖い
誰も他人で
誰も冷たい
誰も自分を考えない
誰も自分の場所から動かない

差し伸べたその手には、
義手のかげりが

傷ばかり背負って
誰にも近寄られないようにして
それを開放せんとともに
己の血を刃(やいば)に吸わすのみ


死ぬがいい
嘲笑うがいい
人の痛みを餌食のままに
傷だけ食らい尽くす者よ



信じることなんて
存在してなんになる?
偽善欺瞞の犠牲者への餞(はなむけ)か