42−87
裏切られたときの
いつも怖く思う。
自分が裏切られたときに。
人の傷だけ知って、
そして逃げてゆく
君は花の中に潜みゆく甘い棘
絡む痛みを知らずとも傷は拡大し
誰も癒せない
誰にも触らせない
誰も信じない
誰もが怖い
誰も他人で
誰も冷たい
誰も自分を考えない
誰も自分の場所から動かない
差し伸べたその手には、
義手のかげりが
傷ばかり背負って
誰にも近寄られないようにして
それを開放せんとともに
己の血を刃(やいば)に吸わすのみ
死ぬがいい
嘲笑うがいい
人の痛みを餌食のままに
傷だけ食らい尽くす者よ
信じることなんて
存在してなんになる?
偽善欺瞞の犠牲者への餞(はなむけ)か